保護主義へ
トランプ大統領誕生のキッカケとなったのは、大きな所ではナショナリズムへの動きだと考えられます。ナショナリズムというのは内向きということです。自国優先という意味で、先行してブレグジットで英国がその向きを示しましたが、トランプ大統領誕生によって自国優先への流れが世界的に起こっていると見れます。トランプ氏は「反自由貿易・反グローバリズム」を掲げています。すなわち「保護主義」というものです。これによって、世界的にグローバリゼーションの終わりが意識され始めると考えられます。これはどういうことかというと、グローバリズムというのは地球規模の市場主義、自由貿易を意味するもので、世界はこれまでグローバリズムのもと地球を一つの市場として経済活動を行ってきていたわけですが、グローバリズムではテロ多くなるし、難民がたくさん来るしで国民の不満が高まりました。英国で起こったブレグジットは、難民がたくさん来て職を奪われた英国民の不満の高まりが主因となって起こりましたし、米国も米国民の職が移民の方々に奪われている現状がありますので、トランプ大統領誕生によって自国優先の保護主義が世界的にも波及していくんじゃないかと考えられます。一国が保護主義に走れば、貿易摩擦が生じて相手国も保護主義に走って連鎖反応を起こしますので、今後その向きが台頭してくると考えられます。すなわち、世界がブロック経済化しすくなると見れます。過去、ブロック経済は世界大恐慌時代に現れています。その時もブロック経済に至るまでは世界はグローバリズムが拡大していましたので、その時と似た動きが出てきているように見えます。トランプ大統領誕生によって保護主義路線になることは間違いないと思いますので、世界がブロック経済化する流れが出るかどうか注目だと思います。ただし、これで世界のグローバル化がなくなるかと言えばそうとも言えず、その流れが止まるか鈍化するのではないかと考えれます。ただし、これらの流れから「多国籍企業」に該当する企業は競争力が落ちやすくなると考えられます。比較的多国籍企業が多い業種を一応以下に載せておきます。
- 金融(銀行・証券・保険)
- 自動車
- IT
- 石油
- 半導体
- 電機
- 航空
- 製造業
トランプ氏の政策は通せる?通せない?
以下にトランプ氏が掲げている政策を列挙しますが、それらの政策が通るのか通らないのかは今後見ておきたい所です。トランプ氏は移民抑制や女性軽視発言で対立が多いですし、共和党主流派との関係も選挙中悪化しています。また、トランプ氏は政治や軍人としての経験がありません。政治や軍人としての経験がない大統領は初ですので何とも言えませんが、トランプ氏の政策をすべて行うとすると債務が膨張します。財政赤字が拡大し、これは共和党が嫌いますので議会を通すのは難しいとも見れます。2017年3月からは債務上限問題も復活しますので、さらに通しにくいと考えられます。ただし、貿易や移民問題、外交等については大統領権限が強いので、それらは議会の承認を得ずに実施される可能性があることは念頭においておきたいです。また今後、共和党主流派とうまくやっていけるか関係性も注目点だと思います。
トランプ氏の政策内容一覧
トランプ氏が掲げている政策とこれまでの発言してきた内容は以下の通りです。
- 法人税15%へ減税
- インフラ投資拡大
- 石炭産業の保護を示唆
- 金融規制緩和派
- ドットフランク法緩和を主張、グラス・スティーガル法は支持
- ドル安政策
- 移民流入を抑制。規制強化を主張「メキシコ国境に壁を建設」
- レパトリ減税に前向き
- イラン核合意を批判。
- TPPには反対。撤退を示唆。
- 関税引上げ。
- NAFTA再交渉を示唆。
- パリ協定からの離脱を示唆。
- オバマケア(医療保険制度改革法)撤回を示唆。
- イエレンFRB議長交代を示唆。
- 日本車・日本製品抑制を示唆。
- 日米安全保障条約を批判
※トランプ氏の政策内容に関する詳しい解説は以下のページを参照してください。
関連記事
- 一般教書演説の概要(2018年1月30日)
- 予算教書の概要(2018会計年度)
- トランプ政権の大型税制改革の基本方針(大統領案)
- トランプ大統領が就任初日に公表した6項目の政策
- トランプ大統領就任演説の全文(2017年1月20日)
- トランプ氏記者会見の内容とポイント(2017年1月11日)
- ムニューシン氏(米国財務長官)の概要
- トランプ氏の100日計画
- トランプ大統領で世界は?日本はどうなる?為替・株価への影響
- トランプ氏の政策・発言内容一覧と為替・株価など日本への影響
- トランプ氏の保護主義(移民流入抑制とグローバル化抑制)のメリットとデメリット
- トランプ大統領で日本は円高になる?円安になる?