日米外相会談の内容(2017.2.10)

 

地域情勢
  • 北朝鮮の核・ミサイル問題、東シナ海、南シナ海など東アジアの安全保障環境は厳しい認識で一致。
  • 日米同盟の重要性確認、日米協力の強化で一致。
尖閣諸島
  • 沖縄県・尖閣諸島が米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象と表明(ティラーソン国務長官)
在日米軍
  • 米軍普天間基地移設問題で、名護市辺野古への移設が唯一の解決策と確認。
経済関係
  • TPPの経済的・戦略的意義を強調(岸田外相)。

 

 

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2017年2月10日 日米首脳会談 共同会見の内容

 

トランプ大統領


総理を歓迎したいと思います。ホワイトハウスにようこそお越しくださいました。お越しいただき名誉に思っております。海外の首脳がアメリカを訪問して下さるのはまだわずか数人です。非常に重要な同盟国である日本にお越しいただけたことを嬉しく思います。両国の絆、そして友情関係、それが両国の国民の間にあります。これは非常に深い関係です。わが政権はそのようなつながりをさらに密接なものにしたいと考えています。私たちは日本の安全保障にコミットメントを持っている。日本の領土を同盟国として重要だと思っています。また、安定と平和が太平洋地域において日本にとってもアメリカにとっても重要であることを確認しました。そして、私たちはこれからこの同盟関係にさらなる投資を行って、両国の防衛能力をさらに深めていきたいと思っています。両国が協力することによってより強くなれます。そしてこれは最終的に犯しづらいことになります。様々な課題がありますが、両国は協力していくことが大切です。両国はパートナーとして進んでいくことを確認しました。私たちは共通する利益をたくさん持っています。航行の自由も非常に重要です。そして、北朝鮮のミサイルを防ぎ、そして核の脅威を防いでいくことが両国にとって重要な国益です。そして、非常に重要な優先課題と考えています。経済面では、貿易関係を公平で自由にしたいと考えています。そして、両国が恩恵を受けることができるものにしていかなくてはならない。私たちが活発に交流を行うことは非常に良いことです。日本は誇り高い国で豊かな歴史と文化を持っています。アメリカ国民は、深く尊敬しています。そして、伝統に対しても深い尊敬をしています。こういった機会をいただき、総理大臣に感謝したいと思っています。日本の国民の皆様にも感謝したいと思っています。アメリカ軍を受け入れて下さって感謝します。両国が協力をすることによって、より大きな調和と安定と繁栄が太平洋地域にもたらされるでしょう。また、それ以外の各地にも広まって多くの人々の命を守っていくでしょう。私たちは強いコミットメントをもっています。安倍総理大臣、アメリカ合衆国を代表してここにお越しいただいたことに感謝を申し上げたいと思っています。まもなく私たちはフロリダ州を訪れます。そこで長く成功するであろう会談を行います。そして、交渉を行いたいと思っています。実りある週末を過ごしたいと思っています。

 

安倍総理大臣


米国を訪問するのは、昨年のハワイ真珠湾以来。この半年間で4度目となります。アメリカ国民の皆様のいつも変わらない歓迎を心から感謝申し上げたいと思います。そして、トランプ大統領には就任100日という大変重要なとても忙しいこのタイミングでホワイトハウスにお招きいただいたことを心から感謝申し上げます。私の名前は「安倍」でありますが、時折アメリカでは「エイブ」と発音されます。しかし私は悪い気はしないわけでありまして、あの偉大な大統領の名を我が国においても知らない人はいないからであります。農民大工の息子が大統領になる。この事実は150年前、将軍の統治のもとにあった日本人を驚かせ、民主主義へと開眼させました。米国こそ民主主義のチャンピヨンであります。大統領は素晴らしいビジネスマンではありますが、議員や知事など公職の経験はありませんでした。それでも1年以上にわたって厳しい厳しい選挙戦を勝ち抜き、新しい大統領に選出された、これこそまさに民主主義のダイナミズムであります。大統領就任を心から祝福したいと思います。米国は世界で最もチャンスに溢れた国である。それは今までも現在もこれからも変わることはないと思います。だからこそ、自動車産業をはじめ多くの日本企業が全米各地に工場をつくり現地生産をしてきました。昨年も、日本から米国へ新たに1500億ドルを超える投資が行われました。これらはアメリカ国内に大きな雇用を生み出しています。まさに互いに利益をもたらす経済関係を日米は構築してきました。トランプ大統領のリーダーシップによって今後高速鉄道など大規模なインフラ投資が進められるでしょう。日本の新幹線を一度でも体験した方がいれば、そのスピード、快適性、安全性はご理解いただけると思います。最新のリニア技術なら、ここDCからトランプタワーのあるNYにたった1時間で結ばれます。日本はこうした高い技術力で大統領の成長戦略に貢献できる、そして米国に新しい雇用を生み出すことができます。こうした日米の経済関係を一層進化させる方策について、今後麻生副総理とペンス副大統領のもとで分野横断的な対話を行うことで合意いたしました。さらに、急速に成長を遂げるアジア太平洋地域において自由な貿易や投資を拡大する、これは日米双方にとって大きなチャンスです。しかし、もちろんそれはフェアな形で行わなければなりません。国有企業による国家資本を背景とした経済介入はあってはならない。知的財産へのフリーライドは許されてはなりません。アジア太平洋地域に自由かつルールに基づいた公正なマーケットを日米両国のリーダーシップのもとでつくりあげていく、その強い意志を私と大統領は確認しました。アジア太平洋地域の平和と繁栄の礎、それは強固な日米同盟であります。その絆はゆるぎないものであり、私とトランプ大統領の手でさらなる強化を進めていく、その強い決意を私たちは共有しました。安全保障環境が厳しさを増す中にあって尖閣諸島が安保条約第5条の対象であることを確認しました。米国は地域におけるプレゼンスを強化し、日本も積極的平和主義の旗のもと、より大きな役割を果たしていく考えであります。同時にm、抑止力を維持し、負担軽減を進めるため、在日米軍の再編をこれまで通り進めてまいります。普天間飛行場の全面返還を実現すべく唯一の解決策である辺野古移設に向け、引き続き日米で協力して取り組んでいきます。北朝鮮に対しては、核および弾道ミサイル計画を放棄し、さらなる挑発を行わないよう強く求めます。拉致問題の解決の重要性についても大統領と完全に一致しました。そして、東シナ海、南シナ海、インド洋、いずれの場所であろうとも航行の自由をはじめ、法の支配に基づく国際秩序が貫徹されなければならない。日本と米国は、力の行使や威嚇によるいかなる現状変更の試みにも反対するとの強い意志を改めて確認しました。私と大統領は、2国間や地域の課題だけではなくて、世界の平和と繁栄についても率直な意見交換を行いました。あらゆる形態のテロリズムを強く非難し、テロとの戦いにおいて、引き続き協力をしていくことで合意しました。日本は日本の役割をしっかりと果たしていきます。さらには地域紛争、難民、貧困、感染症など世界は今様々な課題に直面しています。これらはいずれも日本にとっても米国にとっても、その平和と安定を脅かしかねない深刻な課題です。そして我が国は、米国をはじめ国際社会全体が手を携えて取り組まない限り、買悦することはできません。当然意見の違いはあります。しかし、その中で共通の目標や利益ではなく、違いばかりがことさらに強調されることで対話が閉ざされることを私は恐れます。それは既存の国際秩序に挑戦しようとする者たちが、最も望んでいることであるからであります。対話を閉ざしてしまえば、何も生まれない。むしろ、意見の違いがあるからこそ、対話をすべきであります。私はこの4年間、その一貫した信念のもとに日本ならではの外交を展開してきました。いかに困難な課題があろうとも、私はトランプ大統領と対話を行いながら相互の理解を深め、そこから共有できる解決策を生み出す。その努力を続けていきたいと考えています。
さて、ランチの後は、大統領と一緒にフロリダの週末であります。本当に待ち遠しい気分であります。ゴルフも一緒にプレーする予定であります。まぁ私の腕前は大統領にはかなわないと思いますが、私のポリシーは「ネバーアップ、ネバーイン」常に狙って行く。刻むという言葉は私の辞書にはありません。もちろんこれはゴルフに限ったことであります。リラックスした雰囲気の中で、たっぷりと時間をかけて両国の未来、地域の未来、世界の未来に向けて私たちが何をすべきか、何ができるかについてじっくりお話しをさしていただきたいと思います。ありがとうございました。

 

Q&A


Q
昨日の裁判所の判断をどう思い、どう対応する?新しい大統領令や禁止令を出す?
また、米国がTPPから撤退したことをどのように考える?これで米国の立場はアジアにおいて弱まる?米国との通商交渉をどう考える?

 

A
トランプ大統領
今日の私たちの場に全く関係のない質問ですね。私たちは国の安全をこれからもはかっていくし、必要なことはやっていく。それほど時間はかからない。国の安全保障を確保するのが私だと考えるのでここにいる。追加で必要なことはやっていく。来週のどこかでその話が出るでしょう。法定での手続きも進めていく。必ずや勝つことになるでしょう。

安倍総理大臣
我々は世界において難民の問題、あるいはテロの問題に協力して取り組んでいかなければならないと思っているし、日本は日本の役割を果たして来た。これからも世界とともに日本の果たすべき役割を、責任を果たしていきたいと考えている。そして、それぞれの国が行っている入国管理に関して、また難民政策、移民政策についてはその国の内政問題なので、コメントは控えます。

 

Q
大統領は週初、この2週間で多くを学んだと言った。テロは米国民が理解している以上に大きな脅威である。しかしそれには対処すると言ったが、それは大統領が様々な情報を得たからですね?大統領令は一時的に差し止められていますが、これまでと比べて同じように実施する?国土は守れる?
米国がTPPから撤退したのは間違いだった?

 

A
トランプ大統領
私は完全に自信を持っている。私たちは米国民のために素晴らしい安全保障を確保します。厳格な審査を行っていきます。私は選挙戦のはじめのころから言っていた。大統領となってわずかな時間しか経っていないが、多くの情報を学んだ。大統領になれば様々なことを学ばなければならない。米国には非常に多くの脅威がある。その脅威が現実になることを許さない。ゆえに対策をとる。この国の安全を守る対策。この国の入国を認めるにあたり、米国民に危害を与えるような人たちを入国させません。多くの人々が米国に入国することができる。それは米国を愛し、米国の良き友人となる方々です。私の政権の間はそれだけは約束する。

安倍総理大臣
TPPについては、もうすでに我々は大統領の判断を承知している。経済問題についてはこの後のワーキングランチで話をすることになるが、日米の今後の貿易や投資、経済関係をどのように発展させていくかは麻生氏とペンス氏の間で枠組みを作ってきのうさせていく。良い結果が出てくると楽観している。TPPに関してはアジア太平洋地域に自由でフェアなルールをつくって、それを日米がリードをしていく、ここが一番重要なポイント。この重要性については変わっていないと私は思う。

 

 

Q
日本の自動車市場や金融・為替政策を巡って事前の安倍氏とトランプ氏の発言には開きがあったが、それについてどんなやりとりがあった?意見の隔たりは埋まった?また、トランプ氏の言う「偉大な国」とはどんな国?そして、偉大な同盟国アメリカとはどんな国?

 

A
安倍総理大臣
トランプ政権の登場により、日米の経済関係に新たな創造が始まる。そのような強力なメッセージを打ち出すべく、私から新たな経済対話の枠組みを立ち上げることを提案し、今晩合意した。個別の経済分野の協力については、この後の昼食会で話すことになる。いずれにせよ、私と大統領の間では、日米間の経済関係について麻生氏とペンス氏のもとで進む。成果が出てくることを期待している。為替は日米の財務大臣間で議論を継続させていくことになった。そして、米国が「偉大な国になる」ということは、米国が担ってきた様々な役割もあり、責任もある。今世界は不確実性が増してきている中において、米国が偉大な国となり強い国となることが日本にとっても大きな利益であり、日米同盟が強化されることは日米だけでなくアジア太平洋地域、あるいは世界の平和と繁栄に大きな貢献をしていく。そのためにも米国が偉大な国になっていく、それを歓迎する。

トランプ大統領
選挙で当選して以来、次期大統領と呼ばれたその時から自動車会社などに言ってきた。米国に戻ってこいと。」そして戻ってきている。今後短い間に大きな発表がなされる。工場やプラントが出て行ったが、それが戻ってくる。雇用もミシガン、オハイオ、ペンシルベニア、ノースカロライナ、他の場所に戻ってくる。それらに私はよくしていく。私たちは大きな可能性を秘めた国。「アメリカを再び偉大な国にする」という表現は、過去にないほど偉大になることと申し上げます。総理大臣の友情に感謝する。総理大臣とは非常に気が合う。もし変わったら申し上げるが、そうはならないだろう。

 

Q
オバマ政権はリバランス政策でアジア重視の姿勢を示したが、中国は東シナ海。南シナ海で強硬姿勢を強め、北朝鮮は核ミサイル開発に拍車をかけた。そのためアジアの国からアジア太平洋地域に対する米国のコミットメントを懸念する声が相次いだ。トランプ氏は今後この地域にどう対応する?また、中国の為替政策を問題視しているが、仮に中国が大統領の望む方針に転換した場合、米国のアジア太平洋地域への対応は変わる?

 

A
トランプ大統領
私は非常にいい会話をすることができた。昨日中国の国家主席と電話で会談した。温かい会話となった。私たちはこれから上手くやっていけるだろう。これは日本にとっても利益になることだと思う。この時も中国の様々な代表と対話を進めようとしている。全ての人にとって国にとって良い結果となるだろう。また、為替の切り下げについては長い間苦情を言ってきた。多くの人々が理解しているよりも早く私たちは公平な土俵を作れると考えている。それだけが唯一公平に貿易やそれ以外のことで競い合うことができるからです。私たちはその分野でも努力を行っていく。努力をし、この国のためにいい結果を引き出したいと思っている。公平にしていく。米国は貿易に対してより大きな役割を果たしていくことになる。そのために近い将来税制改革を行いたいと思っている。現在はどのような政策かわからない状態に置かれている。しかし今、インセンティブをもとにした政策をすすめたいと思っている。ライアン下院議長やマコネル院内総務と協力してすすめている。多くの人が感銘を受けるだろう。これはビジネスとも深い関係があるへルスケアをこの国に導入する。医療費の価格を減らす。国民は満足してくれるだろう。

 

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2017年1月31日 日銀総裁会見ノート

本日の決定会合では、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)のもとで、これまでの金融市場調節方針を維持することを賛成多数で決定した。すなわち、短期金利について日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用するとともに、長期金利について10年物国債金利がゼ%程度で推移するよう、長期国債の買入れを行う。買入れ額については、概ね現状程度の買入れペース(保有残高の増加額年間約80兆円)をめどとしつつ金利操作方針を実現するよう運営する。また、長期国債以外の資産の買入れについては、これまで通りとする。

 

展望レポートより


我が国の景気は、緩やかな回復基調を続けている。海外経済は、新興国の一部に弱さが残るものの、緩やかな成長が続いている。そうしたもとで、輸出は持ち直している。国内需要の面では、企業収益が高水準で推移し、業況感も幾分改善するなかで、設備投資は緩やかな増加基調にある。また、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、個人消費は底堅く推移しているほか、住宅投資も持ち直しを続けている。この間、公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。以上の内外需要の緩やかな増加に加え、在庫調整の進捗を反映して、鉱工業生産は持ち直している。わが国の金融環境は、きわめて緩和した状態にある。先行きのわが国経済は、緩やかな拡大に転じていくとみられる。まず国内需要は、きわめて緩和的な金融環境や政府の大型経済対策による財政支出などを背景に、企業・家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、増加基調をたどると考えられる。
この間、海外経済は、先進国の着実な成長が続き、新興国経済の回復も、その好影響の波及や各国の政策効果によって、次第にしっかりとしたものになっていくことから、緩やかに成長率を高めていくと予想している。こうした海外経済の改善を背景として、輸出も、基調として緩やかに増加するとみられる。以上のもとで、わが国経済は、2018年度までの見通し期間を通じて、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。実質成長率の見通しを従来の見通しと比べると、GDP統計の基準改定に伴うGDPの上方修正に加え、海外経済の上振れや為替相場の円安方向への動きなどを背景に、幾分上振れている。
物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%程度となっている。予想物価上昇率は、弱含みの局面が続いている。先行きの物価は、消費者物価の前年比は、エネルギー価格の動きを反映して0%程度から小幅のプラスに転じたあと、マクロ的な需給バランスが改善し、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、2%に向けて上昇率を高めていくと考えられる。今回の物価見通しを従来の見通しと比べると、概ね不変である。2%程度に達する時期は、見通し期間の終盤(2018年度頃)になる可能性が高い。
リスクバランスは、経済・物価ともに下振れリスクの方が大きい。物価面では、2%の「物価安定の目標」に向けたモメンタム(勢い)は維持されているが、なお力強さに欠け、引き続き注意深く点検していく必要がある。なお、展望レポートについては、佐藤、木内委員から消費者物価が見通し期間中には2%程度に達しないことを前提とする議案が提出され否決された。日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作量的・質的金融緩和」を継続する。消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続する。今後とも、経済・物価・金融情勢を踏まえ、「物価安定の目標」に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行う。また、今回の決定会合では、貸出増加を支援するための資金供給」、「成長基盤強化を支援するための資金供給」、東日本大震災および熊本地震にかかる「被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーション」等の措置について、受付期間を1年間延長することを決定した(全員一致)。

 

Q&A

Q:トランプ氏大統領就任で米国や世界経済、金融市場にどのような影響がある?


新政権のもとで減税インフラ投資などの積極的な財政運営によって、米国の経済成長率や物価上昇率が高まる期待から、米国の長期金利は上昇し株価は史上最高値圏内で堅調に推移している。現時点では、新政権の経済政策の具体的な内容は明らかになっていないが、米国の政策運営は米国経済だけでなく、世界経済や国際金融市場に大きな影響を及ぼすため、新政権の政策運営の方向性あるいはその影響については注視していきたい。

 

 

Q:マイナス金利導入決定から1年。その効果と影響は?反省点は?


日銀は、2016年1月の決定会合からマイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入した。その後の国債金利イールドカーブ全体を低下させ、これが貸出金利あるいは社債金利の低下にしっかりと繋がっていた。ただ、2016年前半は、経済の減速や様々なリスクの顕在化によって国債金利市場は不安定化し、日本経済は逆風に見舞われた。こうした中でマイナス金利のもとでの極めて緩和的な金融環境というのは、企業が家計の経済活動をサポートしたと考えている。この間、金融機関の貸出態度は引き続き積極的で金融仲介機能の悪化は伺えないが、金融機関の利鞘は縮小している。また、超長期金利などが過度に低下すると、保険、年金などの運用に大きな影響が出て、マインド面を通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある。これらを念頭において、昨年9月に総括的検証を行い、それまでの政策枠組みを強化する形で長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入した。現在の枠組みでは、経済、物価、金融情勢を踏まえて、2%の物価安定目標の実現のために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促していくことにしている。その後、世界経済の成長のモメンタムが高まり、グローバルに長期金利が上昇するもとでも日本の長期金利は操作目標のゼロ%程度で安定的に推移している。イールドカーブコントロールは、世界経済が追い風に変わる中で、それを増幅し、強力な緩和効果を発揮していると見ている。
このように、マイナス金利導入以降の金融政策運営は、2%の物価安定目標の実現に向けて必要かつ適切な政策であると考えている。

 

 

Q:米国の保護主義による下振れリスクは?またその先行き不透明感による春闘の賃上げへの影響は?


政策委員も下振れリスクの方が大きいと見ている。その内容やリスクは展望レポートに書いているが、米国、欧州、新興国、資源国経済等々、重要ポリティカルの問題を含めて様々なリスクがありうることが示されている。米国の新しい経済政策については、まだ政権発足から間もないためはっきりしないが、減税やインフラ投資など積極的な財政運営によって、米国の経済成長率や物価上昇率が高まるとの期待から既に市場では長期金利上昇、株価堅調となっています。それがどれぐらいの上方・下方リスクになるかは各委員色々な考えを持っていると思うが、米国は雇用・所得環境は着実な改善を背景に家計支出を中心にしっかりした回復が続いているし、積極的な財政政策の効果もあって、国内民需を中心に成長が続くというのが市場の主要な見方だと思う。それに多くの委員も意見を共有してしていると思うが、具体的にどの部分がどれだけ下方リスクになっているかは、それぞれの委員の意見だと思う。
春闘については、展望レポートに示しているが、日銀は単に物価が上がればいいとしているのではなく、企業収益の増加、雇用の増加、賃金の上昇を伴いながら、物価が緩やかに上がる好循環を目指している。企業収益は過去最高に近い水準で推移しているし、失業率も3%程度まで低下、有効求人倍率は上がり、労働市場はタイトな状況が続いている。したがって、世界経済における下振れリスクはありうるが、賃金が上昇する環境は十分整っているのではないかと思っている。

 

 

Q:トランプ氏は日本を名指しで貿易赤字等に不満をもらしている。トランプ政権そのものがリスク要因となる?また、現在の円安は政策の効果?


トランプ政権の動向は今後も見ていく必要があるが、一般的に減税やインフラ投資などのマクロ政策面では経済成長を押し上げると見れる。他方で、保護主義的な政策というのは、世界貿易を縮小させたり、世界経済の成長を減速させたりする懸念があると思う。後者に関しては、G7G20あるいは、WTOIMF等々で自由貿易の重要性というのは国際的に認識されているので、世界的に保護主義が大きな形で拡がる可能性は少ないだろうと思っている。
日本の金融政策はあくまで物価の安定を目的としているので、為替レートの水準や安定を目標にしていない。為替は金利格差が他の事情にして一定であれば、一定の影響を与えるということは理論的に究明されているが、為替市場を巡る要因には様々なものがあるので、日米の金利差だけで為替レートが決まるものではない。いずれにしても、為替政策は財務省が所管しているもので、日銀は従来から国際的に合意されているファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映して安定的に推移することが望ましいと認識している。

 

 

Q:トランプ氏の入国禁止の大統領令で大混乱しているが、自由の国でこれが起こっていることをどう思う?また大統領令による混乱で世界経済は?


入国管理は各国の政策の問題。日本銀行が関与する問題ではない。ただ、米国は基本的に自由な国。移民がたくさんいる国。それは今でも変わらないと思っている。
大統領令は米国の法制の中で成り立っているので、コメントは差し控えたい。

 

 

Q:浜田氏が最近金融政策だけでなく財政の拡大が必要と発言しているが?


それは浜田氏に聞いてもらいたいが、物価により大きく影響を与えるのは金融政策と一般的に学会でも実務会でも理解されている。また、経済政策の運営では、物価がただ上がればいいというものではなく、企業収益が改善し、雇用が改善し、賃金が上がる中で物価が上がっていくのが望ましいので、日銀は物価安定目標を早期に実現するために金融政策を運営していく。政府は短期的には景気対策、中長期的には財政の健全性や持続可能性を高めていくと同時に、規制緩和等の構造政策、成長政策によって持続的な潜在成長率を押し上げていくこと、これらの政策を総合的に活用してデフレ脱却して持続的・安定的な成長に日本経済を持って行く。ゆえに、金融政策だけで全てが行われるものではない。最近のG20やIMFがthree pronged approahと言って、金融政策、財政政策、構造政策をそれぞれの国の事情に合った形で活用してバランスのとれた政策、物価の安定をもたらすと言っており、日本銀行もそれを共有する。

 

 

Q:物価上昇の環境は整ってきていそうだが、予想物価上昇率は弱含んでいる。なぜ?また物価上昇で春闘の賃上げ期待は大きい?


需給ギャップは縮小してきており、労働市場、雇用状況はタイトになってきている。ゆえに、予想物価上昇率自体は弱めに推移しているが、内訳では下げ止まりや上昇しているものもある。今後は2018年度頃に向けて物価2%程度に達すると見通している。日本は予想物価上昇率が足元の物価上昇率に大きく影響される傾向から言うと、需給ギャップがタイトになり石油価格のマイナスの影響が剥げ落ちていくことによって実際の物価上昇率が上がっていくと予想物価上昇率もそれに応じて上昇するのではないかと期待している。
賃上げについては、基盤は十分整っていると思う。企業収益は過去最高水準、雇用情勢もタイト。ゆえに春闘で賃上げが進む基盤は整っている。どのくらい期待しているかは僭越なので、「期待している」ということ。

 

 

Q:物価2%は2018年度頃の見通し。今のペースで国債買入れを続ければ長期国債は500兆円を超える。当座預金も2018年度中に500兆円が視野に入る。岩田副総裁は2015年8月の国会答弁で、出口の過程で金利を引上げる時、当座預金に払う金利が日銀保有の国債利回りを上回り、逆鞘が生じる可能性がある、どれぐらいの逆鞘が生じるかを内部でシュミレーションして検討している、と発言していた。日銀のバランスシートの将来の損失についてシュミレーションしている論文が出ているがそれは知っている?


この場は、金融政策決定会合の結果を説明して、それに対する質問を受ける場で演説の会場ではないので、その点については答えるつもりはない。いずれにしても、私共が常に申し上げていることは、あくまで最も重要なのは、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現すること。これは、2013年1月に日本銀行が決定し、かつ政府との共同声明でも謳っていること。それに向けて、実際の経済・物価情勢、あるいは金融情勢等を踏まえて最適の経済政策をやっていく。その際に、日本銀行の財務の状況については、もちろん十分配慮していくわけだが、あくまでも最も重要な目標というのは物価安定目標を達成すること。出口について今は時期尚早。その時の経済・物価情勢、あるいは金融情勢によって出口戦略も変わってくる。米国もかつて述べていた政策と逆のルートで今出口戦略を行っている。今時期尚早なことを言ってマーケットに余計な混乱をもたらすのは適切でない。いずれにしても、どのような出口戦略をとるかは2%道半ばの状況で具体的に申し上げるのは適切でない。出口に際しては、バランスシートをどうするのかということと、金利をどうするのかということは重要なのはどこの国でも同じ。それをどう進めるかは、あくまでその時の状況。

 

 

Q:成長率見通し上方修正の理由に円安があるがトランプ氏はドル高は望ましくないと発言している。これまで米国は強いドル政策を推していたが、為替政策の変更も?また、通商と為替は別に考えるのがこれまでの国際約束だったが、トランプ氏はリンクさせる方向も。それによるマーケットと国際金融システムへの影響は?


為替の目安が成長率や物価に影響を与えるのは事実。ただ、各委員は円安が進むとか円高が進むとか、特定の見通しは持っておらず、過去の平均値を延長し、それを前提としている。今後円安が進んだり円高が進めば見通しも変わるが、為替については機械的な前提でやっている。
トランプ政権の政策に関する、特に通商や為替政策は日銀が担当している金融政策とは別の次元なので特に申し上げることはないが、財務省時代、為替政策を担当してきた経験から言えば、その時の為替水準がその時の経済動向としっくりいかないという時には、その時よりももっと通貨が強くなった方がいいとか、弱くなった方がいいということを考えたり、主張する傾向はある。為替は、ずっと強くなっていけばいいわけでもないし、弱くなっていけばいいわけでもない。あくまで経済のファンダメンタルズに即した形で為替が変動するのが望ましい、というのが合意事項。それ以上の通貨高政策や通貨安政策はあまりないのではないか。
通商と為替政策は、基本的にリンクしていない。通商はWTOの所管。為替政策はIMFの所管。国内では為替政策は財務省、通商政策は基本的に外務省、具体的にはそれぞれの産業担当官庁である経産省や国交省が管理する。ただ、経済に及ぼす影響としては通商と為替はインタラクトする可能性はある。制度的にはリンクはしていないだろうと国際的にも国内的にも思われる。

 

 

Q:ダボス会議では差引で米経済は上振れと発言していたが?オペ一部見送りでテーパリング観測があるが?


ダボス会議では、世界経済の発言を求められた。IMFがWEOを発したばかりで、WEOを見ると日本や米国の成長率は若干上方修正し、新興国は中国を除いて若干下方修正して、全体としては2017年、2018年ともに前のIMFの見通しと変わらなかった。日本については、IMFの見通しよりも高めを述べたが、米国についても市場が予想しているような減税やインフラ投資が行われればIMFの見通しよりも上振れする可能性があるのではないかということを指摘した。IMFはかなり慎重な見通し。
オペについては、長短金利操作付き量的・質的金融緩和のもとで、調節方針を政策委員会で示していただき、長短金利の操作目標を定めた上でこれと整合的な形で適切なイールドカーブが形成されるように国債買入れを運営している。よって、買入れの金額やタイミング、回数などは国債の需給環境や市場動向を踏まえて実務的に決定される。よって、日々の国債買入れオペの運営によって先行きの政策スタンスを示すことはない。

 

 

Q:これまでも企業収益最高水準で環境が整っている場面はあったが労使は物価見通しで要求するので賃上げはされてこなかった。労使交渉の在り方を変えて欲しいなどの思いは?


春闘の労使交渉は労使で決めるべきもの。中央銀行がとやかくいうものではないが、過去の実績をもとに労使交渉がされるとなると、石油価格の下落などによって物価上昇率が下がる、そして賃金、物価あるいは予想物価上昇率も下がるということになると、欧米のように予想物価上昇率が2%の物価安定目標に安価されているとなるが、日本の場合は一旦物価が下がると予想物価上昇率に影響して、石油価格が戻る過程でも賃金、物価上昇率が上がらないことになる。ただ、政府は将来の物価予想も勘案して賃金決定交渉にあたられてはどうかと言われている。経済界も合意しているので、そちらの方向に少しずつ向かって変わる可能性はある。

 

 

Q:トランプ氏は2国間の貿易赤字を問題視しているよう。政策の在り方として正しい?また中国のように自国通貨買いをしている国が「為替操作国」としての認定はありうる?


経済学者はグローバルな貿易収支については問題視するが、2国間については経済学的には意味がないと言うと思う。
為替操作国」の認定は、米国だけがやっていることで、米国の都合だけでやっている。日欧や中国はやっていないので何とも言えないが、IMFは各国の通貨について、アンダーバリュー、オーバーバリューされていることを時折分析して公表している。経常収支から分析するのではなく、資本収支の方から分析する。米国の為替操作認定基準とは違うし経済学者によっても意見が分かれるので何とも言えない。

 

 

Q:為替はファンダメンタルズに即して動き、それ以外はないと言ったが主旨は?


私の過去の経験から言って、各国はファンダメンタルズより通貨が高すぎると思う時は通貨を下げる主張をするし、インフレになりそうな時は通貨が強い方が好ましいという場合もあるので、常に通貨が強い方がいい、弱い方がいいと主張した国はあまりないので、その時々の経済情勢をその国が見て、適切と思われる通過水準を主張するということ。実際あるべき姿を言ったのではない。実際はファンダメンタルズに乖離して為替レートは動くが、基本的にはファンダメンタルズを反映して推移するのが望ましいということは広く合意されている。

 

 

日銀総裁会見


 

 

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